【温泉で修行する】
温泉で修行するマダムに出会う
時々、利用する昔ながらの銭湯がある。こぢんまりとしているけれど、手入れが行き届いているので気に入っていて、時々利用している。
小さいながらも、サウナ・電気風呂・水風呂・露天風呂・熱い湯舟・普通の湯舟・赤と青のレバーの洗い場と「ケロリン」桶がそろっていて、なんとも言えない愛おしい銭湯。今日は、露天風呂で出会ったマダムについてのお話。
私は、化粧を落として、サッと身体を洗った後は、いつも露天風呂にゆっくりと浸かる。この露天風呂は、私が行く時間にはとてもすいていて、ほとんどが貸し切り状態で使わせてもらっている。
この露天風呂は、小さい長方形の形をしており、奥に滝のように源泉がかけ流しになっているスポットがある。滝の下に入って、打たせ湯の様に利用することもできる。
ある日、いつものように露天風呂に行くと、滝のところに先客がいた。照明がやたらにムーディーということもあるが、先客の顔だけが助清(犬神家の一族)のように、ボンヤリと不気味に白浮きしている。
一瞬、湯舟に入ることをためらってしまったが、助清の正体を確かめるべく、勇気を出して湯舟へ。
近くへ寄り、じっと見てみると、どうやらパック(シートマスク)のようなものをしている。推定年齢60代ぐらいのマダムである。
そして、間近に寄ると、何やら小声でブツブツ言っている。
滝の音に負けじと、耳を澄ませて聞いてみると
「ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル ワタシハ シアワセニナル・・・」
「ワタシハ シアワセニナル」
と私が湯舟にいた約20分間、滝に打たれながら、ずっと唱えていましたよ。
私は結局、先に上がってしまいましたが・・・
助清さん、人生でツライ目に遭ってきたのでしょうか・・・
わき目もふらず、温泉の滝で修行をするなんて、私にはなかなかできませんが、ご利益があるのなら、挑戦してみたいです。
助清さんに幸あれ。
☆遊びに来てくださって ありがとうございました☆